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日本パグウォッシュ会議は「安保関連3文書」を憂慮し、

平和をめぐる科学者・市民の積極的議論を呼びかけます

日本パグウォッシュ会議

2023年1月4日

政府は12月16日、「安保関連3文書」(「国家安全保障戦略」等)を閣議決定したと発表しました。国際情勢や安全保障環境が厳しさを増していることを理由として挙げていますが、防衛費倍増(2023年度からの5年間で43兆円)や、「反撃能力」(=敵基地攻撃能力)の保持等の方針が示されており、戦後日本の安全保障政策の大きな転換であり、軍拡路線につながるものと言えます。日本パグウォッシュ会議は、核兵器廃絶と戦争の廃止をめざす科学者と市民の立場から、このような方針を深刻に憂慮します。

 

今回の方針は「防衛力の抜本的強化」を正面から掲げ、国際紛争に軍事的に対応しようとする姿勢を鮮明にしていますが、このような姿勢はむしろ緊張を高め、アジアにおける軍拡競争、戦争の危機を招き寄せることにつながりかねません。国際紛争はあくまで平和的・非軍事的な手法で、対話と外交的手段を尽くすことで解決されるべきです。

 

他国の領域内を直接攻撃できる「反撃能力」の保持は、日本国憲法に明らかに反しており、従来日本政府が掲げてきた専守防衛の立場からも逸脱しています。政府は「反撃能力」を持つことで敵の武力攻撃を「抑止」できると説明していますが、常に相手を上回る軍事的能力を手にすることをめざす「抑止論」では、能力が均衡に達することはなく、究極の兵器としての核兵器を正当化する姿勢にもつながる危険性があります。

 

さらに今回の方針では防衛関係の「研究開発」、「技術力向上」の必要性が強調され、安全保障を支えるために強化すべき国内基盤として「知的基盤の強化」(=「学術界との実践的な連携強化」)が謳われていますが、これは科学者・研究者と学生を戦争協力へと動員する態勢づくりをめざすものと言えます。

 

平和と民主主義を守り、日本とアジアにおける戦争の危険を真に回避するためには、政府の判断のみで拙速な政策決定を行なうのではなく、冷静・客観的な議論を社会全体で行ない、慎重な検討を重ねていく必要があります。日本パグウォッシュ会議は「安保関連3文書」に憂慮を表明すると共に、今こそ平和の問題をめぐり、科学者・市民が積極的に議論し、行動していくことを呼びかけます。

日本パグウォッシュ会議代表 稲垣知宏

同副代表 栗田禎子

同副代表 高原孝生

同会長 広渡清吾

同会長代行 鈴木達治郎

日本パグウォッシュ会議  Pugwash Japan

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