新型コロナウィルス・パンデミックにどう対処すべきか
―科学的根拠を踏まえ、独立した調査・助言機関の設置をー

日本パグウォッシュ会議 代表 鈴木達治郎
2020年5月12日 

 

 新型コロナウィルス(COVID-19)パンデミックは、国際社会に新たな脅威を与え続けており、2020年5月10日現在、世界で25万以上の方が犠牲になった。犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、一日でも早くこのパンデミックを収束させるべく、日本政府および国際社会に下記のような施策を提言したい。
 筆者は、今回のパンデミックに対する政府や社会の対応を見ていると、2011年の福島原発事故対応当時のことを連想せざるを得ない。感染症の専門家ではないが、当時政府の一員(原子力委員会委員長代理)の経験から以下の5つの教訓を先月発表した(長崎新聞4月18日)。それらは:1)「命を守る」を最優先に、2)代替案を検討せよ、3)世界の「英知」を結集せよ、4)「科学顧問組織」の設置を、5)「透明性と信頼性」の確保を、であった。
 日本パグウォッシュ会議は、「科学者の社会的責任」と「対立を超えた対話」を理念とする団体であり、その視点から、筆者としては特に4)「科学顧問組織」について提言したい。政府は5月4日、緊急事態宣言を5月末まで延長することを決定したが、その根拠として示されたのが、5月1日に発表された政府の新型コロナ・ウィルス感染症対策専門家会議による報告書「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」であった。しかし、この報告書や政府の発表では、これまで政府がとった対策がどのように効果があったのか、そして今後どのような対策が効果的なのか、についての説明が十分とは言えない。世界に目を向けても、COVID-19の感染拡大が極めて大きい国・地域と、その被害を限定的に抑えられた国・地域が存在しており、その原因が現時点でも明らかになったわけではない。一方、COVID-19の発生源や経緯についても、明確な科学的根拠のないまま、批判や情報が流されており、それがあらたな対立を招きかねない状況になっている。これは、5)の「透明性と信頼性確保」の観点からも決して望ましいことではない。
 そこであらためて、日本政府に対し、COVID-19に関する、独立した科学調査・助言機関の設置を提言する。政府による設置が難しいのであれば、民間の寄付等により設置を目指すべきだ。このような独立した調査・助言機関は、以下のような使命を果たすことが期待される。(1)COVID-19の医療対策について、世界の「ベスト・プラクティス」を共有し、それを迅速に公開する(2)パンデミックの現状分析と今後に向けての施策、とくに緊急事態宣言解除プロセスへの助言(3)COVID-19に対するワクチンなど医薬品開発などに関する助言。こういった信頼できる情報の提供が、誤解や誤情報に基づく対策を避け、国際社会の協力を促進することで、不必要な対立を避けることができると望んでいる。

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