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パグウオッシュ評議会 広島宣言(仮訳)

「ヒロシマ・ナガサキから60年」

2005年7月27日 広島

広島、長崎の両都市が核兵器によって破壊されてから60周年にあたるこの年にわれわれは、世界の政治指導者、科学者、市民に訴える。根拠のない危険な安心感にとらわれることなく、核兵器がかつてと同様に今なお国際社会全体に脅威をもたらしているという事実を直視しなければならない。

前回パグウオッシュが1995年に広島で会議を開催して以来、いくつもの機会が失われ、核の脅威だけからみても、世界は明らかに安全でなくなった。この10年の間に、核兵器を保有する国は増え、実質的に意味のある核軍縮の成果もほとんど見られていない。むしろ新しいタイプの核兵器が提案され、その使用可能性に重きを置くような方向へと、軍事戦略が変更されつつある。

あらゆる諸国が核不拡散条約を遵守し、包括的核実験禁止条約を批准し、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(カットオフ条約:FMCT)を締結するよう、われわれは訴える。これらは核の脅威を低減させるための短期的な措置として重要である。また、さらに進んで次のことを認識するよう、われわれは核兵器国に呼びかける。核兵器禁止条約を締結することこそが、それぞれの安全を増進する最善の手段である。

まず、核兵器は、非道徳的で違法な兵器であると、宣言されなくてはならない。そして核兵器が禁止され廃絶される以前においても、それが、軍事戦略上、重要なものとして位置づけられている現在の危険な状態を改め、さらに、戦略核、戦術核の双方を、大幅に削減するための措置がとられなくてはならない。

危険は明白である。重大な地域紛争が勃発すれば、核兵器の対峙状態はコントロール不能な段階にまでエスカレートするということが起こりうる。また、テロリストが核爆発装置によって破滅的な攻撃を行なうという脅威から身を守りたいならば、過剰に蓄積された核分裂性物質をきちんと管理し、処分してしまわなくてはならない。テロリストの手に渡らないよう、高濃縮ウランを処分するための具体的な方策について、パグウオッシュは提言を行なってきた。そこで勧告されていることを迅速に行動に移すよう、われわれは各国政府に訴える。

パグウオッシュ評議会は、ここ広島の爆心地近くに集い、世界の科学者たちと市民に呼びかける。核兵器は世界のいずれの地域においても、事前の警告なしに、いつでも使われうるのである。この脅威に立ち向かおうではないか。 政治指導者と各国政府にわれわれが伝えたいメッセージは単純だが手厳しいものにならざるを得ない。核兵器が存在する限り、それはいつの日にか、使われるであろう。

「われわれは一人の人間として、人間に向かって訴える。他のことは忘れて、あなたが人間であることを思い出してほしい」という1955年のラッセル=アインシュタイン宣言の精神にのっとって行動しない限り、核による破滅を避けることはできないだろう。広島と長崎で起きたことは、断じて繰り返されてはならない。

日本パグウォッシュ会議  Pugwash Japan

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